ムソール

アフリカの女性はとてもおしゃれです。

特に、セネガルの女性は、おしゃれの面では群を抜いているかもしれません。

例え、家が貧しくても、お祭りや宗教儀式の時は、美しい服に身を包み、頭にムソールを巻いてさっそうと現れます。

ムソールとは、頭に巻く布のことで、一般に「ターバン」と訳されています。

ももともとは、働く女性たちが仕事をする際に、直射日光や、頭にほこりをかぶるのを避けるために、布で髪の毛を覆ったのが始まりです。それが、徐々に女性たちのおしゃれの一つに変化していきました。

ムソールが社会的地位を表すために使われていたこともありました。

例えば、布の先端が右側を向いていれば、その女性は「既婚者」であることを示し、左側に向いていれば、「未婚者」であることを示していました。

アメリカ合衆国の植民地時代(1493年~1776年)、ルイジアナ州では、アフリカから連れて来られた黒人奴隷の女性たちは、頭にスカーフを巻くことが義務づけられていました。これは、黒人女性たちが、白人女性より劣っていることを明確に示すためでしたが、黒人女性たちはこれを逆手にとって、ファッションにまで高めました。

ムソールを付けるのは、セネガル人の女性だけではありません。マリ、ナイジェリア、トーゴ、ベナン、ガーナなどの女性たちも、呼び名は違っていますが、ムソールと同じものを頭に巻いておしゃれをしています。

国民の95%がイスラム教徒のセネガルでは、金曜日は「集団礼拝」を行う特別な日で、男性も女性もブーブーなどの伝統的な服を着ておめかしをする習慣があります。セネガルの女性たちはムソールを頭に巻き付けて仕事をしますが、その姿はとても優雅で威厳さえ感じます。

また、セネガル社会では、「ドリアンケ」と呼ばれる、富裕層の淑女たちが、セレモニーなどの催し物に派手なムソールをつけて登場し、人々の注目を浴びている場面に出くわすことがあります。

セネガルの作家、セム・ママ・ディオップは、小説『最後の審判を待ちながら』の中で、「ドリアンケ」を『豊満で、成熟し、アフリカの国家元首の個人口座のように豊かなお尻を持った女性』と表現しています。(筆者訳)

ドリアンケたち
ひときわ目立つドリアンケ

派手なムソールを付けた彼女たちのことを、「自分および夫の社会的地位、裕福さ、高貴さを貧乏人に見せびらかしている女性たち」と皮肉る人もいます。

セネガルで見られる代表的なムソールを次ページで紹介します。

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