チェレ・ジャッハル (睡蓮のクスクス)

【チェレ・ジャッハル】Cere Jaxal 睡蓮のクスクス

トウジンビエの代わりに、睡蓮(ジャッハル)の胞子を使ったチェレ料理(クスクス料理)。

トウジンビエが無い時、睡蓮の胞子が用いられたのが始まりとか。

元来は、サン・ルイ州Walo-Walo地方の料理で、昔は、川魚のみを使い、野菜は入れなかった。

ウォロフ語では、睡蓮もハスも、「ジャッハル」と呼ばれている。

今回のチェレ・ジャッハルは、セネガルの北部、セネガル河流域の町Rossoから西に約10km行ったRhol村(ダカールから約375km)に住むAssoutou Guèyeさんに作ってもらった。

Rhol村から歩いて1時間ぐらいのところにメロン畑があり、その横の沼地に咲く睡蓮を採って、チェレ・ジャッハルの材料とした。

睡蓮の咲く沼地
腰まで沼に浸かって睡蓮を取る
手に睡蓮の花を持つ女
手に睡蓮の花を持つ男
(紀元前15世紀エジプト)  
Wikipediaより転載
花後の縦断面:
子房室内に多数の胞子 
Wikipediaより転載

睡蓮の胞子には医療効果がある。

子供達は水蓮の胞子を生で食べたりする。

生の胞子はシコシコとして歯ごたえがあるが、味は特に無い。

睡蓮はちゃんとした実になると、花びらが落ち、水の中に沈む。

胞子にはオスとメスの区別があり、灰色の胞子はオス、赤色の胞子はメス。

オスの胞子
メスの胞子

チェレ・ジャッハルの作り方

【材料】

魚:Tunoun トゥヌン(いしもち) 普段は、Waas(ティラピア)などの安い川魚を使う。今回は日本人の私が立ち会ったのでちょっと奮発した。  
ジャッハル:適量    
落花生油:1リットル    
トマト:適量
カーニ2個
玉ねぎ:500g。   
ディウニョール(Diwu ñor):お玉1杯。
ディウニョールは、『田舎のバター』と呼ばれ、遊牧民のプル族が牛の乳から造る黄色い液体状のホットバター油。これを入れると、良い香りと味が出る。食べる時にボロボロせずに、口あたりがなめらかになり、飲み込みやすくなる。ラーロ(バオバブの葉を乾燥させ搗いて粉したもの)と同じ役割をしている(ディウニョールを入れるのはその家の好みによる)。 肌や髪につける化粧品として使う女性もいる。

トマトピューレ    
ノコス(Nokkos)= 煮込みソースにいれる自家製の調味料
→ 黒胡椒、鷹のつめ、にんにく、玉ねぎ、ジュンボブイヨンを入れる。 
干し魚

一つ鍋料理(ベンヌ・チン Ben cin)=鍋一つで出来る料理。

ちなみに、二つの鍋が必要な料理は、二つ鍋料理(ニャーリ・チンNaar cin)と言う。

料理は14時30分から始め、17:00に終了。

【作り方】

1. 睡蓮(ジャッハル)の子房室内から胞子を取る。
2. 杵で搗いてふすまを取り除く。
状態がきれいになったら搗くのを止める。
3. ふるいを使って、ふすまを
取り除く。
胞子
ふすま
4. 胞子を煎る。
煎った胞子
材料(玉ねぎ、こしょう、にんにく、ジュンボブイヨン、鷹のつめ)
白身魚のTunoun(イシモチ)
5. 魚をぶつ切りにする
6. トマトピューレ大さじ5杯を
準備する。
7. 魚のうろこを取る。
8. 鍋に落花生油を入れて熱する(強火)。昔は魚の脂肪を油の代わりに
使った。
9. 玉ねぎを細く切り、鍋に入れる。
10. トマトピューレに水を少し入れ
薄め、半分を鍋に入れる。
11. よくかき混ぜる。
 12. 塩を入れ、時々かき混ぜる。
13. 水を入れる。
14. 魚を入れて煮込む。
15. カーニ(唐辛子)を2個入れる。
16. 残りのトマトピューレ半分を
入れる。
 17. 塩を少し入れ、味見をする。
18. ジュンボ・ブイヨン3袋を
手で潰して入れる。
19. ノコスNokkos (煮込みソースに入れる自家製の調味料)を作る。
黒胡椒を入れる
鷹のつめを入れる
胡椒と鷹のつめを潰す
にんにくを入れる
玉ねぎを入れる
よく潰す
20. 干しナマズ(またはイワシの燻製)を入れる。
21. 上記19で作ったノコスを入れ,
弱火にする。
22. 魚を取り出す。ソースも若干取り出す。
23. あらかじめ炒っておいた睡蓮の
胞子を準備する。
24. 煎った胞子を鍋に入れる。
大豆を炒ったような香ばしい匂いがしてくる。ふたを閉め煮込む。
25. 鍋のふたを開け、ソースが蒸発して無くなっていること確認する。
26. 魚と一緒にっておいたソースを
かける。
27. 魚の骨を取る。
28. 鍋の中に入れる。
29. よく混ぜる。
30. よく煮えるまで、魚を取った時のソースを時々かける。
31. 睡蓮の胞子がよく煮えているか味見する。まだ煮えていなかったら、取っておいたソースをかけて弱火でゆっくりと煮込む。
 ディウニョール(牛の乳から作った液体状のバター)
32. ディウニョールをおたま1杯分入れる。これを入れると、良い香りと味が出る。
ディウニョールを入れるのはその家の好みによる。
29. 皿に盛る
魚を煮込んだソースを添えて。
みんなで完食!

水連の花
水連の花

村で水連の胞子を売るおばあさん

【参考文献】
・『世界の食文化 11 アフリカ』小川 了 (農山漁村文化協会)

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