ミス・ジョンゴマ・コンテスト

会場に足を踏み入れると、アブライ・ンブップAblaye M’Boupの歌が流れていた。

Diongoma sou ngone dioté

Nanga sangu kheigne

Sa lou nekh….

ジョンゴマ、

夜のとばりが下りたら、

体を入念に洗い

香水をつけて

夫を呼びなさい….

客席を見ると、おしゃれをしたドリアンケ達でほとんどの席が埋められていた。

会場の片隅には、オーブン1台、冷凍庫1台、革製の応接セット、Sotibaの生地、携帯電話、化粧品、Darlingの付け毛のエクステンションなど、コンテストの賞品が陳列されていた。

《プレゼンテーション》

プレゼンテーションは3回に分けて行われる。

ファイナリストは10人。

会場は、ネマリの匂いで溢れ、むせかえるようだった。

あなたなら誰をミス・ジョンゴマに選びますか?

《お詫び》
ファイナリスト達は、ラン・ウエイを歩くとき、ジャルジャリなどを観客に向かってばらまきますが、筆者はそれを拾い集めるのに夢中になって、幾人かのファイナリストたちの写真を撮り損ねています。御容赦ください。

1回目のプレゼンテーション

1回目のプレゼンテーションでは、グラン・ブーブー(Grand Boubou)を着用。

グラン・ブーブーは、1枚の布に首の穴だけをあけた、ゆったりとした服。首回りや胸元に刺繍がしてあり、縫ったところがほとんどない。セレモニーの時などに着るフォーマルな服。体のラインが見えない代わり、顔の表情に視線が集中する。

エントリーNo. 1:ウセイナトゥー・バ Ousseynatou Bâ
目が輝いていた。

エントリーNo. 2:アイダ・カマラ Aïda Camara
貫禄のある歩き方に感動。

エントリーNo. 3:キネ・チューン Kiné Thioune
ビンビンやジャルジャリをひたすら観客に配っていた。

エントリーNo. 4:ソホナ・バレラ Sokhna Baléyéra
彼女がラン・ウエイに1歩足を踏み入れた途端、会場からため息がもれた。

エントリーNo. 5:アンタ・バ Anta Bâ 
強い香料の匂いが刺激的だった。

エントリーNo. 6:マミー・リー Mamy Ly 
とてもエネルギッシュ。Vivid !

エントリーNo. 7:ンデイ・ジョール・ジョンヌ Ndèye Dior Dione
歩き方がとても優雅。カメラを向けると目線をくれた。

エントリーNo. 8:ウレイ・ジェイ Oulèye Dièye
ノンシャランな雰囲気が素敵!。

エントリーNo. 9:アンタ・ルーム Anta Loum
甘い香りで審査員や観客を魅了した。

エントリーNo. 10:マゲット・ジョップ Maguette Diop
セクシーなベーチョにめまい。

2回目のプレゼンテーション

2回目のプレゼンテーションでは、ンドケット(Ndokette)を着用。

ンドケットは、袖があり、プリーツが多く、ドレスのようにくるぶしまでくる服。胸が強調される服。

エントリーNo. 1:Ousseynatou Bâ
笑顔が最高!

エントリーNo. 2:Aïda Camara
お母さんの温かさ。

エントリーNo. 3:Kiné Thioune
貴婦人の雰囲気。

エントリーNo. 4:Sokhna Baléyéra
観客を引き込む圧倒的な佇まい。 

エントリーNo. 5:Anta Bâ 
上目づかいのまなざしが観客の心を掴む。

エントリーNo. 6:Mamy Ly 

写真なし

エントリーNo. 7:Ndèye Dior Dione
デルモのような身のこなし!

エントリーNo. 8:Oulèye Dièye
大西洋の海の輝き!

エントリーNo. 9:Anta Loum
半割のひょうたんの容器の中にあるビンビンやネマリを惜しげもなく観客に配っていた。

エントリーNo. 10:Maguette Diop
シャイな笑顔が魅力的。

3回目のプレゼンテーション

3回目のプレゼンテーションは、タイバス(Taille basse)を着用。(正確には「タイユ・バース」であるが、一般的に「ユ」の音が省略されて「タイ・バス」と発音されている)

胸から腰にかけて、キュッとしまった服。ヒップが強調される。

エントリーNo. 1:Ousseynatou Bâ
穴のあいた、シースルーのベーチョ(腰巻)を審査員と観客にお披露目。

エントリーNo. 2:Aïda Camara
ブラバ!ブラバ!ブラバ!

エントリーNo. 3:Kiné Thioune
ジャルジャルとベーチョの女神!

エントリーNo. 4:Sokhna Baléyéra
自分で作ったと言うビンビンは、彼女に似てデリケート!

エントリーNo. 5:Anta Bâ 
写真なし

エントリーNo. 6:Mamy Ly 
写真なし

エントリーNo. 7:Ndèye Dior Dione
ジョンゴマ的チャーミング

エントリーNo. 8:Oulèye Dièye
写真なし

エントリーNo. 9:Anta Loum
このしとやかさがジョンゴマのかけがえのない魅力

エントリーNo. 10:Maguette Diop
写真なし

すべてのプレゼンテーションが終わり、審査の結果を待つ間、チョン・バラゴ・セックThione Balago Seckのミニ・コンサートが始まった。大ヒット曲『マーチュMathiou』を歌うと、女性観客たちは熱狂的に興奮していた。

チョン・バラゴ・セックのミニコンサート

審査結果を待つファイナリスト達

結果発表の瞬間、感涙するソホナ・バレラ。
嬉しさのあまりか手がブルブルと震えていた。

花束を受け取る第6代ミス・ジョンゴマソホナ・バレラ!おめでとう!

ソホナ・バレラ Sokhna Baléyéra

1971年6月25日生まれ。かに座

身長 170cm  B 112cm  W 98cm  H 133cm

(標準的なモデルのサイズは、B 90、W 60、H 90)

【審査員の評】

まさに稀有な真珠。美しく、色白で、貫禄があった。ゆっくりとした所作には、しとやかさとエレガンスにあふれていた。彼女の笑顔は天使の微笑み。採点は241ポイント。

因みに、

2位はエントリーNo. 7のdèye Dior Dione。採点は220ポイント。賞品は30万FCFAの小切手と携帯電話。

3位はエントリーNo. 9のAnta Loum。採点は195ポイント。賞品は、20万FCFAの小切手と携帯電話。

週刊誌『AMINA』のインタビュー

Amina:何故、ミス・ジョンゴマ・コンテストに参加しようと思ったのですか?

ソホナ:正直言って、私はコンテストの事を噂でしか知りませんでした。人は、このコンテストに批判的で、「不道徳だ」と言っていました。私は、参加しようとは思いませんでしたが、私がよく行っている美容院《La Sophie de Pikine》のおかみさんと私の友達が強く勧めたのです。おかみさんは、交通費など色々な費用を私のために支払ってくれました。友達は私が優勝することを確信していました。このコンテストが真面目に行われていることを知った時、私は参加することを決めました。

Amina:「コンテストは女性の価値を下げる」とフェミニストたちが声を上げていますが、どう思いますか?

ソホナ:私は逆に、女性の魅力によって女性の価値を高めていると思います。それは、女性にとって重要な特性です。コンテストに参加する女性は尊厳を捨てていません。先入観をもってはいけないと思います。

Amina:あなたは優勝すると信じていましたか?

ソホナ:最初は信じていませんでしたが、予選が終了し、私を含めた10人のファイナリストが残った時、私は「これはいけそうだ」と感じ、「3位以内には入るだろう」と思いました。

Amina:コンテストに向け準備はしましたか?

ソホナ:家で音楽を流し、美しく歩く練習をしていました。

Amina :マラブー(イスラム教の導師)に依頼をしましたか?

ソホナ:マラブーに頼るということはしませんでした。なぜなら、私には魅力があると思っていましたから。私にとって必要なことは、歩き方の練習をして人を惹きつけることで、マラブーの力は必要ではありませんでした。私のマラブーは、私の両親と神様です。

Amina:あなたがジョンゴマ・コンテストに参加すると言った時、御両親はどのような反応でしたか?また、あなたが優勝した時の御両親の反応はどうでしたか?

ソホナ:私は両親に内緒でコンテストに応募しました。父はこのコンテストのスポンサーでもあるSOTIBAに勤めていて、会社で行われたクジに当たってメッカに巡礼に行っていました。叔母にだけは本当のことを伝えていました。ある日、母は私がコンクールに参加しているのをテレビで知ったのですが、何も言いませんでした。父も私がコンクールに出場しているのを知ると、静かに見守ってくれました。私が優勝すると、父はとても喜んでくれましたが、これからは仕事にがんばるよう言われました。

Amina:仕事は何をしていますか?

ソホナ:マリやモーリタニアやガンビアから生地や洋服を輸入し、それを売って商売をしています。イタリアやアメリカやフランスとも取引をしたいと考えています。
私はまた、ネマリ(香)を作る材料を買って、それを1ヶ月間仕込んだ後、小さな容器に小分けして売っています。今回の最終選考会の時にも、数個を持って行きました。

Amina:何か他の仕事をやろうと考えたことはないですか?

ソホナ:ないですね。私は学校をやめた時、すでに商売をしたいと思っていました。そして、両親を助けたいと思ったのです。

Amina:あなたは結婚して子供もいるのですか?

ソホナ:私は中学校を卒業せず、17歳の時に第2夫人として結婚しましたが、うまくゆかず5年後に離婚しました。男の子1人と女の子1がいますが、子供たちは現在、実の父親と一緒にダカールに住んでいます。私は郊外のピキンの実家に住んでいます。

Amina:再婚を考えたことがありますか?

ソホナ:その可能性は捨てていません。だけど、理想の男性とめぐり会うのは大変難しいです。私を《遊び》の対象と考えている男性には興味がありません。

Amina:あなたの理想の男性とは?

ソホナ:女性を騙したり、私をリスペクトしない男性とは人生を共にしたくありません。優しくて、誠実で、愛情があり、私を幸せにしてくれる人が理想です。

Amina:あなたは理想の女性だと思いますか?

ソホナ:自分のことについて話すのは難しいです。だけど、男性をちゃんと世話をし、幸せにすることはできると思っています。女性は下品でなく、清潔で、礼儀正しく、洗練されていて、良い香りを周りに振りまくことを心掛けなければならないと思います。

Amina:《ちゃんと世話をする》というのはどう言う意味ですか?

ソホナ:(大笑いして) 小さな事です…

Amina:《ジョンゴマ》というタイトルを獲得して何か道が開けましたか?

ソホナ:道は何も開けていません。たくさんの電話を頂き、その中で悪くない話しもありました。私は29歳で、私がやりたい事は自分で分かっています。誠実な男性を見分けることもできます。

Amina:優勝賞品は何でしたか?

ソホナ:100万FCFA(約20万円)の小切手、オーブン1台、冷凍庫1台、革製の応接セット、Sotibaの生地、携帯電話、化粧品、付け毛のエクステンションなどなどです。

Amina:航空券はなかったのですか?

ソホナ:いいえ、ありませんでした。私は旅行をするのが好きなのでとても残念です。100万FCFAの小切手で、私の仕事を続けることができるので、それで満足です。

Amina:ミス・ジョンゴマになって変わったことはありませんか?

ソホナ:いいえ。私は何も変わっていませんし、友達も常に同じです。来年、新しいミス・ジョンゴマが選ばれ、そして私はまた無名の人にもどるのですから、何も変わる事はありません。ミス・ジョンゴマになると、人生が一変するかと思っていましたが、そうではありませんでした。特に、興味深い仕事のオファーもありません。かつてのミス・ジョンゴマのンデラ・チャウNdella Thiawさんや、ファトゥマタ・ジャウFatoumata Diawさんやス-ケイナ・セックSoukeyna Seckさんも同じことを言っています。

Amina:ミス・ジョンゴマは良く食べると思いますが、好きな食べ物は何ですか?

ソホナ:ヤッサ・プレ(玉ねぎで煮込んだニワトリごはん)です。

Amina:好きな歌手は?

ソホナ:ユッスー・ンドゥールとチョン・セック(Thione Seck)です。

Amina:今後の夢を聞かせてください。

ソホナ:商売をさらに繁盛させ、家族を助けたいと思います。

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