ファティム・ンベング Fatim MBENGUE
1966年カオラックに生まれる。
芸術教育高等師範学校(ENSEA)卒業。
国立美術学校(Ecole Nationale des Beaux-Arts)卒業。
国立芸術学校(Conservatoire National des Arts)演劇科卒業。
舞台女優もしている。
ギリシャ悲劇『アンチゴーネ』の主役で舞台にたったことがある。
オーストラリアの監督ジュリアン・ダールの短編ドキュメント映画『ドラゴンフライ』の主演を務め、同時に美術も担当した。
彼女はダカールの下町のメディナのアパートに独り住まい。
家を訪問すると、ビサップ・ジュースとビスケットを御馳走してくれた。
筆者:あなたの絵はムンクのような雰囲気がありますが。
ンベング:私はゴッホの絵のタッチが好きで、ゴッホから影響を受けています。マチスも好きです。『ツバブ・ジャロ村の牛』という絵は、ゴッホを意識して描きました。
筆者:青色を基調とした作品が多いと思います。
ンベング:私は、「青色は私の色」と人に言いふらすほど、青色が大好きです。ただ、『戦争の廃墟』という作品には、青色を一切使っていません。カザマンス地方の独立運動の戦闘場面からインスピレーションを受けていて、少し、暗いタッチにしました。
筆者:《女性》をテーマにしているようですね。
ンベング:私の作品には、2つの大きなテーマがあります。《女性》と《水》です。人間の生きる源と考えるからです。
『せみ』というタイトルの作品がありますが、これは、フォンテーヌの『寓話』からインスピレーションを得ています。せみとありの話しですが、「若い時は、今できる事を今のうちにやっておく」というのがテーマです。
因みに星占いでは、私は《さそり座》ですが、中国の十二支では、《へび年》に生まれたことを知り、いつか、《へび》をテーマにした作品を描きたいと思っていました。つい最近、『人/へび』という作品を描き上げました。
筆者;『ピアノを弾く女性』という作品にインパクトを受けました。ピアノの鍵盤の歪みに、あなたの独創性と才能を感じます。
ンベング:絵は、インスピレーションがひらめいたら、一気に描きあげます。私は音楽が好きで、子供の頃、ピアノを弾きたいと思っていました。ジャズやサルサのパチャンガも好きです。
筆者:そう言えば、あなたの作品の『Dakar by night』を見た時、ケニー・Gのサックスの音が突然、流れてきました。都会の夜の華やかなネオンの奥に潜む、孤独や哀しみが感じられました。
ンベング:サン・テグジュペリは、『夜間飛行』で、「夜は人間を浮かび上がらす:呼びかけ、ともしび、不安」と書いています。
筆者:あなたにとって、《芸術》とは何ですか?
ンベング:芸術とは、驚きを生み出す自由な表現形式のことです。
コメントを残す