セネガルの現代美術 3/5

ファティム・ンベング  Fatim MBENGUE

1966年カオラックに生まれる。

芸術教育高等師範学校(ENSEA)卒業。

国立美術学校(Ecole Nationale des Beaux-Arts)卒業。

国立芸術学校(Conservatoire National des Arts)演劇科卒業。

舞台女優もしている。

ギリシャ悲劇『アンチゴーネ』の主役で舞台にたったことがある。

オーストラリアの監督ジュリアン・ダールの短編ドキュメント映画『ドラゴンフライ』の主演を務め、同時に美術も担当した。

彼女はダカールの下町のメディナのアパートに独り住まい。

家を訪問すると、ビサップ・ジュースとビスケットを御馳走してくれた。

筆者:あなたの絵はムンクのような雰囲気がありますが。

ンベング:私はゴッホの絵のタッチが好きで、ゴッホから影響を受けています。マチスも好きです。『ツバブ・ジャロ村の牛』という絵は、ゴッホを意識して描きました。

筆者:青色を基調とした作品が多いと思います。

ンベング:私は、「青色は私の色」と人に言いふらすほど、青色が大好きです。ただ、『戦争の廃墟』という作品には、青色を一切使っていません。カザマンス地方の独立運動の戦闘場面からインスピレーションを受けていて、少し、暗いタッチにしました。

筆者:《女性》をテーマにしているようですね。

ンベング:私の作品には、2つの大きなテーマがあります。《女性》と《水》です。人間の生きる源と考えるからです

『せみ』というタイトルの作品がありますが、これは、フォンテーヌの『寓話』からインスピレーションを得ています。せみとありの話しですが、「若い時は、今できる事を今のうちにやっておく」というのがテーマです。

因みに星占いでは、私は《さそり座》ですが、中国の十二支では、《へび年》に生まれたことを知り、いつか、《へび》をテーマにした作品を描きたいと思っていました。つい最近、『人/へび』という作品を描き上げました。

筆者;『ピアノを弾く女性』という作品にインパクトを受けました。ピアノの鍵盤の歪みに、あなたの独創性と才能を感じます。

ンベング:絵は、インスピレーションがひらめいたら、一気に描きあげます。私は音楽が好きで、子供の頃、ピアノを弾きたいと思っていました。ジャズやサルサのパチャンガも好きです。

『ピアノを弾く女性』

筆者:そう言えば、あなたの作品の『Dakar by night』を見た時、ケニー・Gのサックスの音が突然、流れてきました。都会の夜の華やかなネオンの奥に潜む、孤独や哀しみが感じられました。

ンベング:サン・テグジュペリは、『夜間飛行』で、「夜は人間を浮かび上がらす:呼びかけ、ともしび、不安」と書いています。

『Dakar by night 』

筆者:あなたにとって、《芸術》とは何ですか?

ンベング芸術とは、驚きを生み出す自由な表現形式のことです

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