《サルパン島の見学》
コルニッシュ(海岸通り)の道路際に看板があり、そこを奥に入って行くと、公園の管理局がある。

公園に行く時は、出発前に公園管理局で「入場許可書」を取得しなければならない(1.000FCFA)。また、公園管理局の職員が島に同行する。

島に渡るエンジン付きピローグは、午前9時~午後17時まで運航。

ピローグは公園管理局に頼むと、手配してくれる。往復一人4.000FCFA(約800円)。ガイド料5.000FCFA(約1.000円)。(料金は適時改定される)
島まで約10~15分。
ミネラルウォーターとサンドイッチ持参可能。(筆者はお茶とおむすびを持って行った)
ピローグが海に向って漕ぎ出し、沖に進んで行くうちに、海と空が空間を占める率が、どんどん広がってゆく。

周りを見渡すと360度、海となり、高い空から俯瞰で見たピローグはひと粒のちっぽけな泡粒となっている。
自然と人間のパワーバランスが逆転し、自然が人間を支配し始める。
頭の上をトビが不気味に旋回し、突然襲いかかってくるのではないかとずっとヒヤヒヤしていた。

ピローグの船頭は、船の操作をしながら、釣り針だけを海に垂らして流し、バデッシュというハタの仲間の魚を釣り上げていた。
島に近づくとサルパン島の周りを一周し、そして島の入り江に入って行く。

入り江には、コンクリートでできたはしけがある。これがあると足が濡れなくて済むのでとても助かる。

ピローグの発着場となっている入り江は、10m×30mの広さで、土地の人から《プール》と呼ばれ、この公園内で唯一遊泳が許されている。

船着き場に設置されている看板には、島内における禁止事項が掲示されている:
・釣りおよびスピアフィッシング
・すべての種類の魚介類を獲ること
・鳥類への威嚇
・樹木にいたずら書きをすること
・たき火をすること
・ゴミ捨を捨てること
サルパン島を見学しよう!
玄武岩で作られた廃墟
これは、1770年頃、ゴレ島在住のフランス人ラコンブLacombe氏が島の玄武岩を使用して建てた小屋であるが、完成しなかった。
(フランスの植民地時代、フランス軍が反抗者サルパンSarpanをこの島に流刑した際、彼が住んでいた家という説もある)

この廃墟の横に、建設中の建物がある。これは、海岸から50mの沿岸地域の密漁をパトロールする沿岸警備員の監視所。(この建物の場所に、反抗者サルパンの牢獄があったという説もある)

小人のバオバブ
海からの強い風の影響で、根が地下に降りて行かず、発育が良くないので、このバオバブはこれ以上背が高くならない。
バオバブはかなりの年齢であるが、正確な年齢は分からない。
アフリカの最西端に植生するバオバブ。


ギイ Guy (ウォロフ名)
パンヤ科バオバブノキ属
学名:Adansonia digitata
和名:バオバブノキ
フランス名:Baobab
今から2億年以上前、アフリカ大陸とオーストラリア大陸とマダガスカルが1つの超大陸ゴンドワナを形成していた時期、バオバブはすでに生育していた。
アフリカ大陸がオーストラリア大陸とマダガスカルと分裂した後も、現在に至るまで、バオバブは「生きた化石」としてたくましく生きぬいている。
4世紀頃から始まったサハラ縦断交易で西アフリカに来ていたアラブ商人たちは、バオバブを「ブー・ヒバブBu hibab (種子の多い果実)」と呼び、果肉をエジプトに持ち帰り、秘薬として販売した。
Wikipediaには、「『バオバブ』の名は、16世紀に北アフリカを旅したイタリア人植物学者が、『バ・オバブ』と著書に記したのが始まり」とあるが、16世紀のイタリア人植物学者19人全員を筆者が調べたところ、該当する人は見当たらなかった。(このイタリア人植物学者の名前が分かる方がいれば教えてください)
フランス人植物学者、ミシェル・アダンソンは、1748年から4年4ヶ月セネガルに滞在し、植物の採集・研究をおこない、1756年、王立科学アカデミーにバオバブについて詳細に報告した。翌年出版した『セネガルの自然誌』にもバオバブに関する記述がある。
バオバブの学名アダンソニアAdansoniaは彼の名前に由来する。
バオバブは、通常、高さ15~20mにおよぶ巨木であるが、マドレーヌ諸島国立公園のバオバブは、2mにもならない低木で、枝が地面を這うように生えている。このため《小人のバオバブ》と呼ばれている。
根が表面に出ているのは、暴風や突風を避けるため、あまり大きく成長しないようにしていることに因る。
この小さなバオバブは、アフリカ大陸では、マドレーヌ諸島国立公園と周辺のマメル地区にしか生育していない。
アダンソンは王立科学アカデミーに「フランス人探検家アンドレ・テヴェAndré Thévetは1555年にブラジル探検を行ったが、途中マドレーヌ島に上陸した。島内のバオバブの木の幹に船員の名前と日付を記した跡があった」と報告している。筆者はその痕跡を探したが、残念ながら見つけることはできなかった。
近年、バオバブに気候変動の影響と見られる異変が起きている。
アフリカ南部でバオバブが急速に枯れ始めている。
バオバブは多孔質の幹の中に大量の水を貯め込むことで乾燥に耐えているため、幹の直径が大きい。しかし、最近の気候変動により気温が上昇し、深刻な干ばつが続いたことで、ついに耐えきれずに枯れてしまうとみられる。バオバブに影響が出ているということは、地球の生態系全体にも影響が出ているということである。
ゾウはカルシウムが豊富なバオバブの樹皮が大好物で、場所によっては、樹皮を剥ぎ取って食べてしまう。
オオウのコロニー
マドレーヌ諸島国立公園では、オオウの成長のすべての過程を観察することができる。
孵化したばかりのひな鳥がいれば、初めて巣を飛び立つ鳥もいる。
海に面した崖に住みつき自分達のテリトリーを固守している。親鳥はひな鳥のために海にエサを探しに行き、エサを確保するとひな鳥に口移しで与える。
この崖に近づくと、鳥たちの糞の匂いが鼻をつく。対岸のダカールから見ると、崖は鳥の糞で真っ白になっている。


オオウ
ツルギ目カワウ科
学名:Phalacrocorax carbo
フランス名:Grand cormorant
水鳥。
オスはメスよりふとっていて、くちばしが広い。
生きた魚を餌にする。1kgの魚を捕まえることができる。
水中最大10mの深さまで、1分間潜水できる。
潜望鏡を水面に出して進む潜水艦のように、体を半分または完全に水中に沈めて泳ぐことができる。
マドレーヌ諸島国立公園には3000組以上のつがいがいるとされる。
通常、11月~2月に、ルニュ島に卵を産みに来る。
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